不動産神話の呪縛
バブル時代には相続税対策として土地やマンション等の不動産を購入することが流行しました。当時は不動産価格がどんどん上昇していて路線価の上昇が追いつかず、時価と相続税評価額に大きな乖離が発生したために節税ができました。
この節税策は不動産価格が上昇し続けることが前提のスキームです。今ではこの前提条件が崩れていますので、もはや相続税対策にはならないと考えるべきです。しかしながら、現在でも不動産購入=相続税対策という概念が根強く残っています。たしかに現金のままよりは不動産に変えた方が相続税評価額は減少しますが、値下がりリスクや毎年の固定資産税負担、相続争い等のデメリットを考えると、不動産購入は得策とは言えません。
土地をたくさんお持ちの資産家には、不動産業者の営業マンから「賃貸アパートを建てて相続税対策しませんか?」という提案を受けることが多いと思います。しかし、日本はすでに人口減少時代に入っており、空き家もどんどん増えています。このような状況ではうまくいく保証はどこにもありません。もしやるのであれば不動産賃貸業を事業として本気で取り組む意気込みが必要かと思います。