カテゴリー : 税務

103万円は壁か?

配偶者控除廃止議論の関係で103万円が注目されています。
メディア等でも103万円が連呼されますし、各種相談会でも103万円という単語をよく聞きます。
103万円を1円でも超えるとかなりの損をするのでは?と思われているようですが、実は103万円は全く重要ではありません。
(理由1)103万円超でも以下でも住民税がかかります。(96万円前後に抑えると住民税はかかりません)
(理由2)103万円を超えても配偶者特別控除があるため、配偶者控除同様の所得控除を受けられます。
(理由3)いずれにせよ、夫婦の手取り額は必ず増えます。

本当の壁は130万円です。(ここでは夫が妻を扶養すると仮定します)
妻の給与が130万円(一定の大企業では106万円)以上になると、夫の社会保険の扶養から外れます。
社会保険料を負担すると、約15%手取り額が減少します。(将来もらえる年金はその分増えるはずですが…)
ただ、これも夫の会社が社会保険適用事業所であることが前提です。
夫が自営業で厚生年金に加入していなければ、130万円の壁も存在しません。
本当は壁などないのに周りの情報に踊らされている方はいらっしゃいませんでしょうか?
ご自身(ご夫婦)の状況を一度正確に把握し、間違った行動を取らないようにしましょう。

配偶者控除廃止の議論よりも優先すべきこと

配偶者控除を廃止する議論が行われているようですが、私は廃止賛成派です。
年末調整や確定申告において、配偶者の所得を把握する必要があるのが面倒だからです。
また、個人事業主から青色専従者給与を受けている方は配偶者控除を受けられませんので、そのあたりの差別も解消されます。
ただ、単純に配偶者控除を廃止するだけですと増税になりますので、反対する人が多いのは当然です。
そこで、配偶者控除を廃止する代わりに、年少扶養控除を復活すれば一気に問題解決です。
子ども1人の世帯はこれまで通りです。
子ども2人以上の世帯は今よりも減税になりますので、子育て支援として最適です。

この年少扶養控除ですが、以前は子どもがいる親は児童手当をもらいつつ、扶養控除の適用もありました。
ところが、民主党政権時代、子ども手当の創設と引き換えに、16歳未満の子どもは扶養控除の対象外となりました。
子ども手当で援助するのだから、扶養控除はなくてもよいという流れは理解できます。
しかしその後、肝心の子ども手当は廃止となりました。
ではその流れでいくと年少扶養控除を復活させるべきなのですが、これが対象外のままなのです。
こんなわかりやすい子育て世帯狙い撃ち増税を放置している理由がわかりません。
待機児童問題がどうこうとよくテレビ等でやっていますが、こっちの方が問題だと思うのですが…
配偶者控除廃止の議論よりも、年少扶養控除の議論をしていただきたいものです。

相続税の試算をお勧めします

来年1月1日の相続税法改正により、相続税の対象者がかなり増える見込みとなっております。
相続人が1人の場合、基礎控除額が現在の6000万円から改正後は3600万円へ4割縮小されます。
(基礎控除額とは、遺産総額がその金額までであれば相続税がかからない金額です)
大阪市内に自宅がある方や、郊外にあっても敷地が広い方はそれだけで基礎控除を超えてしまう場合も…
自分は相続税とは無縁だろうと思っている方も、ひとまず財産目録を作成し、相続税がかかりそうかどうかくらいは調べておくことをお勧めします。

預貯金や上場株式、生命保険の評価の概算は誰でもできると思いますが、土地の相続税評価は少々知識と手間がかかります。
当方へ相続税試算のご依頼をいただければ、ヒアリングに基づき相続税シミュレーションをさせていただき、節税対策等もご提案いたします。
試算の報酬を少々いただきますが、その後相続税申告をご依頼いただければ、申告報酬から試算時の報酬を差し引かせていただきますので、実質0円で試算させていただきます!

平成26年度税制大綱の感想

まだ細部まで確認しておりませんが、税制大綱が出ましたので気になる項目をピックアップします。

・消費税の軽減措置導入
以前にもこのブログで書いてますが、これは絶対にやめてもらいたいです。
これを推進する政治家は、実際の消費税申告の計算方法を知らないに違いありません。
事業者の負担増以外に問題なのが、10%にしても軽減措置を入れると増えるはずの税収が減ることです。
わざわざややこしくして税収が増えないのなら、8%のままでいけばいいのです。
更に何を軽減対象にするのかで業界団体が一喜一憂することになり、政治家の利権の温床になりかねません。
何一つ良いことがない政策です。

・軽自動車税増税
軽自動車について話題になってますが、新車を買ったら負担が重くなるというよくわからない内容です。
これでは新車が売れなくなりそうです。
中古車業界は歓迎するのではないでしょうか。

・給与所得控除の引き下げ
今でも年収1500万円以上の部分は給与所得控除がゼロですが、更に厳しくして1000万円で控除打ち切りという内容です。
これは高収入サラリーマンにとっては痛いです。
取りやすいところから取る方法の典型例ですが、給与所得控除は優遇されすぎていると思いますので私は賛成です。

・簡易課税の変更
不動産業のみなし仕入率が50%⇒40%になるそうです。
これまでは第5種事業の50%が最小のみなし仕入率だったのですが、第6種の区分を創設するのでしょうか?
事業用賃貸や駐車場経営の方にとっては痛い内容です。

小規模企業共済&確定拠出年金で税金対策を

事業経営者にお勧めする税金対策&退職金代わりの制度は、何といっても「小規模企業共済」です。
(過去にアップした解説記事がありますので詳しくはそちらをご覧ください。)
小規模共済の弱点は、年間84万円の上限があることです。
より所得が高い方にとっては物足りない金額です。

そこで次にお勧めするのが「確定拠出年金」、いわゆる401kです。
これは企業型、個人型等いろいろありますので詳細は控えますが、小規模共済と同様に掛金全額が所得控除の対象になります。
そして弱点も同様で掛金に上限があるのですが、政府の方針として掛金上限を引き上げる予定らしいです。
「貯蓄から投資へ」のスローガンとともに、老後の備えは自分でせよとのお達しであると感じます。

何も手を打たなければ増税のあおりをまともに食らいますが、こうした制度があることを知り、活用することで増税のダメージを和らげることができます。
まさに「無知は損なり」です。