カテゴリー : 税務

消費税増税の話

秋に最終判断するという話ですが、ここにきて毎年1%ずつ5年間引き上げるという案が出ています。
消費税の申告に携わる者としては絶対にやめて欲しいですね…ややこしいことこの上ありません。
来年の増税を見送り、再来年に一気に10%とする案がよいですね。

実は一番やめてもらいたいのが軽減税率の導入なのですが、メディア等でもあまり目にしなくなりました。
こちらの方はどうなるのでしょうかねぇ?

ところで、最近マンションの売れ行きが好調らしいです。
なぜかと言うと、9月末までに契約すれば来年4月以降の引渡しでも消費税率が5%になるからです。
こんな規定まで作っておいて、やっぱり増税しませんとはさすがに言えないと思います。
やはり計画通り増税になるように思いますが、今はまだ何とも言えない状況です。

テレビ番組「なんでも鑑定団」を見ていつも思うこと

テレビ大阪で放送中の「なんでも鑑定団」を昨日見ました。
毎回驚きや発見があって大変楽しい番組です。
ただ、私の仕事柄、いつも気になる点があります。
それは贈与税と相続税についてです。

自分で買ったものの評価については何の問題もありません。
評価額が低ければ損ですし、高ければ含み益になっているだけです。
売却すると所得税に関わってきますが…

問題は、人からもらったものを鑑定してもらう時です。
昨日もそうだったのですが、父親にもらったという骨董品の鑑定額が600万円とのことでした。
これは完全に贈与税の対象ですね。
鑑定評価額が真に正当であるという前提条件はつきますが。
税務署が毎回番組をチェックしているかどうかはわかりませんが、こんなにわかりやすい事象はありません。
もし番組出演をきっかけに税務署から問い合わせが来たら…まぁその時は素直に応じるしかありませんね。

これがもし父親からの遺産として取得したものなら相続税の対象になります。
骨董品についても相続税の申告書に財産として載せる必要があります。
もし私が税務署職員で出演者の担当だったなら、放送翌日に申告書を再確認するでしょうね…

はずれ馬券は経費?

所得税法上、馬券で勝った利益は一時所得として課税されます。
一時所得の計算において、その所得を得るために必要な経費は所得から控除できます。
馬券の利益においては、当選馬券の購入費以外は経費として認められません。

という前提のもと、競馬のシステム売買でかなりの利益を出している方が、億単位の脱税を指摘されました。
ところが、その方は当然多額のはずれ馬券も購入しているため、実際の手取り額は指摘を受けた税額よりもはるかに少ないのです。
儲けた手取り金額を超える税金を払え!…こんな不条理があるでしょうか?
払いたくても払いようがありません。
「はずれ馬券も勝ち馬券を得るための必要経費」という考え方が通用しないのです。
となれば、裁判するしかないということで、その方は訴えたのです。

これはテレビやネットのニュースでも話題となりましたが、その注目の判決が本日出たようです。
結果は…原告勝利!
まあ、当然の結果でしょう。
裁判官は普通の考えで判決を出しただけです。
この結果を受け、はずれ馬券も経費として認めるという通達が国税庁より出ることでしょう。

このように、税法の規定には一般人から見ておかしいのでは?と思うような内容が出てきます。
誰かが裁判に訴えて勝訴して初めて内容が改められます。
裁判で勝つのはなかなか難しいようですが、、、

政党等寄附金迂回問題

最近さかんにメディアで取り上げられていました。
政治家が自らの政治団体に寄付し、寄付金控除により自らの税負担を減少させ、寄付したお金を再び手元へ戻すという手法です。

政党等への寄附金がある場合、確定申告することにより控除を受けられます。
そのほか、赤十字や中央募金会、認定NPO法人に対する寄付も同様です。
寄付なら何でもOKではなく、相手先が限定されています。
寄附金控除の要件を満たしていない寄付について、なぜ寄附金控除を受けられないのかと憤慨する方もいますが、本来の寄付の精神を忘れていることに対する恥ずかしさはないのか…と思ってしまいます。

話がそれましたが、そもそも政党等への寄附金がなぜ税制上の恩恵を受けられる対象になっているのでしょうか?
私にはよくわかりません。
税制を決めるのは政治家なので、自らを利する制度を作っているのでは?と疑ってしまいます。
税制は国を支える根幹ですので、それを決める立場の政治家にはこういう行為は行ってほしくないと思います。

軽減税率見送りへ

自民党と公明党の議論の結果、8%増税時の軽減税率適用はひとまず回避されるようです。
消費税計算の事務負担増加を考えると、この決定は賛成です。
所得税の源泉徴収税額の計算も平成25年からややこしくなりましたし、さらに消費税もとなると相当な負担増です。

社会保険や住民税も会社が徴収するのが当たり前になっていますが、冷静に考えると、行政側は事業者に事務コストを押し付けすぎなのではないか?と考えてしまいます。

雇用対策として法人税減税等が挙がっていますが、人を雇う時のコストは給与だけではなく、社会保険料負担がかなり重いですし、様々な事務コストもかかることを忘れてはいけません。