カテゴリー : 税務

年末調整の季節到来です

今の時期になると、税務署から大きい茶封筒が郵送されてきます。
毎年のことながら、中には大量の書類が入っており、事業者様はびっくりするのではないでしょうか。
経理担当者を配置できる会社なら問題ないですが、個人事業者の方などはうんざりするはずです…
しかし、年末調整を受ける従業員にとっては大事な手続きですので、間違いなく処理を完了させなければなりません。
年末から来年3月15日まで、税理士にとって最も多忙な時期のスタートです。

今回の注目点ですが、平成25年から復興特別所得税として2.1%が加算されます。
給与支給時の源泉徴収税額も変更になりますので要注意です。
年末調整の資料に徴収税額表が入っていますので、年末調整が終わっても捨てずにとっておきましょう。
そして、我々税理士等の士業や、外交員・原稿・デザイン料等の支払時の源泉徴収税額も2.1%加算されます。
これまで10%だったのが、10.21%になります。
現金のやりとりをしようとすると、端数まみれになりますので小銭の用意が欠かせません。
グロスアップ計算により手取額がきれいな数字にするしかありませんが、その場合でも取引額・源泉税額・消費税額が細かい数字になってしまいます。
なぜ2.1%になったのかはわかりませんが、事務処理のことまでは考えられなかったのでしょうねぇ…

税に関する書籍にご注意を

税理士事務所に勤務経験のある著者(税理士ではありません)が書いた本を読んでいたのですが、所得税に関する内容で配偶者控除と配偶者特別控除合わせて76万円の控除が…と書いてありました。
ん?そんなに古い本だったか?と思い、最後のページに書いてある刊行年を見ると2010年と書いてありました。
かなり昔は両方の適用があったらしいですが、2010年はもちろん、もっと以前からどちらかの適用しか受けられません。
著者が勤務していた時代は正しかったのかもしれませんが、その後改正されていることを知らなかったようです。
そして誤った記述が誰のチェックを受けることもなく出版されてしまったようです。

税法は法律の中でも頻繁に改正があるのが特徴です。
だからこそ税理士という専門家が存在しているといっても過言ではありません。
税に関する内容を執筆される方はもちろん、読み手の方もご注意ください。
特に刊行日から年月を経過した本にはご注意を!
執筆時は正しい内容であったとしても、後日に改正されている場合がありますので…

テレビで国会中継やってます

消費税増税の議論をやっています。
逆進性とか軽減税率とか給付つき税額控除とかの話です。
世論調査では軽減税率を求める割合が高いようですが、一般消費者にとっては最も分かりやすいので当然だと思います。
しかし、軽減税率導入は消費税計算事務を担う事業者にとっては相当な負担増になります。
一つ一つの取引について、軽減税率適用対象なのか、税率が何%なのかを確認しなければなりません。
さらに消費税の計算方法がインボイス方式に変更される可能性もあり、その場合の事務負担増も避けられません。
果たしてどうなるのか?注意深く見ていく所存です。

さらに診療報酬が非課税であることについて議論していますが、この非課税に関して思うことがあります。
居住用住宅の賃貸業者も同じですが、消費税が非課税と規定されている事業を行う事業者にとって、消費税増税はゆゆしき問題になります。
通常、課税売上に対する仕入に係る消費税については税額控除を受けられるので、負担は以前と変わらないのですが、非課税売上が大半を占める事業者は税額控除をほとんど受けることができず、増税分が純粋な経費負担となります。
これとは逆に、同じく消費税が課されない輸出業者はゼロ%の課税売上とみなされ、仕入に係る消費税の還付を受けることができるため、何の影響もないという事実があります。
このあたりの格差の是正みたいな施策も必要なのでは?と思います。

小規模企業共済加入をお勧めします

私は国の広報部長でも何でもないのですが、中小企業経営者及び共同経営者並びに個人事業主の方に、小規模企業共済への加入をお勧めしています。
関与先で未加入の方には必ずパンフレット等をお渡ししてお勧めするのですが、ウェブサイト上でも記事にしておこうと思い立ちましたので記載させていただきます。

【小規模企業共済とは?】
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している「経営者の退職金制度」です。
自分で掛金の金額を設定し、その掛金を支払います。
最高で年額84万円まで掛けることができ、なんとその全額が所得控除の対象になります。
高所得者で最高税率(所得税住民税合計50%)を負担されている方なら税負担を42万円軽減できます。
生命保険や地震保険の所得控除額とは比べ物になりません。
最終的に引退または廃業した場合に「退職金」として掛金総額+αを受け取れます。

この「退職金」がメリット大で、退職所得は税制上優遇されているため多くの場合で税が課されません。
毎年の所得から掛金全額が控除され、受取時には税が課されず増額されて戻ってくる…株式やゴールドに投資する資金があるなら真っ先に加入すべきです。

退職所得の金額の計算上、加入期間が長ければ長いほど退職所得控除額が大きくなります。
ですので、たとえ少額であっても早期に加入して加入期間をできるだけ長くすべきです。
私も開業後すぐに加入しました。(金額はわずかですが…)
掛金は毎年変更が可能ですので、その時の資金状況に応じて加減すればとよいと思います。

「節税」について

「節税」という言葉をよく耳にします。
税務分野ではもちろん、世間一般でも使われる言葉だと思います。
「節税」を売りにしている税理士事務所も存在します。
しかし、私はお客様に対し「節税」という言葉は使わないようにしています。
その理由は、「節税」しているのではなく、「有利選択」を行っているだけだからです。
課税される事象につき、納税者にとって最も有利な処理方法を選ぶ、または有利な選択ができるように事前対処するだけのことで、納付すべき税金が節約できるわけではありません。
税理士としては当然の事をしているだけであり、あえて「節税」という言葉を使う理由がないのです。